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戦争を悼む人びと
------ 戦争を悼む人びと ------ 高文研、2016年出版

戦後70年を経た今でも、日本人は戦争の歴史、ことに他国人に対する加害の記憶とどう
向き合うかについて一致した意見を持たない。 この本は最後に残った戦争体験者たちとの
取材によって、彼等の体験を記録するために書かれた。元兵士の中には、自分たちの行為
を悔み 戦争指導者の間違いを指摘する人が多かった。
著書の後半は戦後に育った日本人との インタービューによって、戦争を深く悲しみ、
自分なりの やり方で戦争処理をし、海外の人たちと謝罪と和解の努力を続ける人たちの
話が語られている。

朝日新聞2016年4月10 日掲載 >>
朝日新聞書評、保坂正康、2016年4月10日 >>


それでもぼくは生きぬいた
------ それでも僕は生き抜いた ------ 梨の木舎, 2009年出版

第二次世界大戦初期に、三五万人に近い連合国軍将兵が、アジア・太平洋地域で
日本軍の捕虜になった。そのうち現地兵を除いた一四万人は、三年半後に終戦
が来るまで抑留された。

著者はイギリスで捕虜の記録を読んで、彼らやその家族と会う機会を持ち、
六万人に近かった英連邦捕虜の中の六人の話を書いた。囚われの三年半に
イギリス兵たちが体験したことは何だったか?「優しかった日本兵もいたよ」、
と元捕虜たちは語った。収容所では、人間の獣性と共に美しい資質も発揮された。
しかし人命を軽んじ、人間性を蹂躙した日本軍の扱いの下に、27%の捕慮が
亡くなり、生き残った者たちは後遺症に悩んだ。

朝日新聞 2011年1月8-9日掲載(日本語) (英語)>>
毎日新聞 2010年2月20日掲載 >>
毎日新聞インタービュー、花岡洋二、2010年2月20日 >>


夢のあと
------ 夢のあと ------ 講談社、2008年出版

「夢のあと」の原作 'Eight Million Gods and Demons' は著者シャーウィン裕子が
自ら英語で書きおろし、イギリス・アメリカ・オランダで出版されて激賞された。

『夢のあと』は原作を大幅改稿した日本語版。明治から第二次大戦の終わりまでの
激流の時代を生きた一家族を通して日本の近代を描いた大河小説。

朝日新聞 2008年7月8日掲載 >>
その他書評はこちら >>


老いるヒント
------ 老いるヒント ------ 情報センター出版局、2006年出版

先進国ではどこでも寿命が延びて、人々は前世代の人たちが知らなかった
長い後半生を生きている。与えられた余分の時間をどう生きるかは、
どこの国にも共通の新しいテーマである。歴史の長いイギリス人は独自
の豊かな精神文化を持ち、個人としてばかりか社会人としても、
人生の総決算のような実り豊かな生き方をしている人が多い。
人それぞれ、ガーデニング、散歩、読書、遅まきながらのタレント発掘、
慈善活動、地球規模の社会貢献など、、、何であれ、人生の夕暮れどき
にも静かな情熱に燃えて生きている。

朝日新聞 2006年7月16日掲載 >>
朝日新聞書評、多賀幹子、 2006年7月16日 >>


Eight Million Gods and Demons
------ Eight Million Gods and Demons ------ Plume, Penguin Putnam Inc., New York, 2003年出版

「やおよろずの神と悪魔」――「夢のあと」の原作

英米、ことにヨーロッパで強く感じたことのひとつは、日本について知らない人が
多いということだった。外国人に、近代とその時代に生きた日本人の姿をわかって
もらいた いと考え、原作を英語で書いた。明治人の努力で日本の近代がいかに
築かれ、 その夢がいかに崩れていったかを語ろうとした。モデルにしたのは
典型的な明治人であった父方の祖父だが、これはフィクションで、登場人物は
仮の名を使った。
世界中に大きな悲劇をもたらしたあの戦争時代には、異常な極限状態で戦って
死ぬことを 強いられた日本人がおおかったこと、それにもかかわらず人間らしく
美しく生きた人たちもいたことを、世界の人に知ってもらいたいという
願いを込めて書いた。

朝日新聞 2008年7月20日掲載 >>
Amazon レビュー(英語) >>
Sanford Herald 2003年11月26日掲載(英語) >>
日英タイムズ  2002年2月7日掲載 >>
The Bath Chronicle  2001年11月3日掲載(英語) >>
The Bath Chronicle  2001年9月25日掲載1(英語) >>
2(英語) >>
ハーバード大学における”母娘読書会”(英語) >>
Venue 2001年10月26日-9月9日掲載(英語) >>
Booklist, Sarah Meadorより(英語) >>


Acht Miljoen Goden en Demonen
------ Acht miljoen goden en demonen ------ Sirene, Amsterdam, 2002年出版

オランダ人は早くから世界中を駆け巡り、千六百年、万里の波濤をおかして日本にもやってきた。鎖国の時代の幕府との関わりから第二次大戦で敵味方になるまで、日本には関心があった。オランダ領東インド(現インドネシア)が日本軍に攻略され、蘭印軍や住民が捕虜になって苦しんだことから、戦後長らく日本に対する恨みが残った。‘Eight Million Gods and Demons' がオランダ語に訳されたのは、そんな恨みも遠い昔の歴史として葬って日本を理解しようとする態度を物語る。「戦争を日本人の側から見て、日本人も苦しんだということを知った」という読後感を寄せてくださった方が多かった。


生まれ変わるヨーロッパの家族
------ 生まれ変わるヨーロッパの家族 ------ インパクト出版会、1996年出版

欧米で伝統的な核家族は全家族の三分の一以下という。若い人は独身や同棲を選んで結婚を急がない。未婚の母も増加している。多様な生き方に寛容な北欧諸国などでは結婚は同棲のひとつの形態に過ぎないとみなす。同棲者や同性愛者は普通の結婚と法的に同様に扱われる。

欧米人にとって理想の家族とは何なのか?ホーム・スイート・ホームとはどんな家庭なのか?福祉国家が多いヨーロッパにも母子家庭の貧困の問題はあるが、家庭内の民主化、男女の役割のシェア、多様な生き方に対する寛大な態度などについては、非常に進んでいる。

ピルと高等教育のよって、先進国の女性は自分の人生を選ぶ自由を得た。今の欧米人の家族の特徴は「多様性」と「変様性」ということばに表される。人は両親の家を出発点に、独身、同棲、結婚、離婚、独身、同棲、再婚などを繰り返して生きる。どの状態にも永遠性の保証はない。

日本も晩婚化が進み、離婚が増えている。幾多のインタービューを通して書かせていただいた欧米人の生き方は、そのまま新世紀の日本の家族が求める姿ではないかもしれない。ただ彼らは、家族は外観や構成が問題なのではなくて、中身が大事だということを教えてくださった。他人の思惑にこだわらず、自分の愛や人生に対決して生きようとする人が多かった。


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